初期ロットが全て良い? うそホント!

 

まずはよくある質問からご覧下さい

Q1.初期ロットって一体どれくらいの番号なの?
A1.プラナー50mmF1.4に限定して言うと、581からスタートしている。これはレンズ個々によって異なる。58番代から始まるものは25mmF2.8、両35mm、両85mmなどが挙げられる。ちなみに15mmF3.5や18mmF4は579番代から、両28mmは59番代からスタートしている。その他に35、59、62、66、70、74・・・から始まるレンズも存在し、レンズによって初期番号はまちまちなのである。

Q2.レンズ番号が若ければ若いほど写りが良いの?
A2.初期ロットは現行ロットに比べてバラつきが大きい。よって番号が若ければ全て良いとは限らないのである。溶鉱炉のポット1つ違ったら、ガラスも大きく違うと言われている。ラーメンやソバのつゆも、毎日同じ配合で混合しても微妙に味が違うのと一緒である。これはガラス溶融技術の面もあるが、経年変化の個体差も考慮しなくてはならない。よって59番代より60番代が写りが良かったりすることもあるので、必ずしも初期が一番とは言い切れないのである。しかしながら、50mmF1.4は581または582の中に良いロットが多く存在するのも事実である。85mmF1.4に関しては58番代以上に68番代に鉈の切れ味のロットが点在している。詳細は現在調査中。

Q3.現行品の方が性能が安定しているの?
A3.現行ロットに近くなるににつれ、個体差は収束されてゆく。MMの74番代あたりから1で始まる8桁ロットに至るまで、ほとんど個体差は見られない。これは部品点数の減少によるユニット化により、生産上のバラつきが発生しにくい為と考察する。

Q4.京セラさんのレンズ技術は信頼できるの?
A4.もともとは旧富岡光学で、現京セラオプティック。富岡光学と言えばレンズ製造の一流ブランドで、さすがツァイスが白羽の矢を立てただけのことはある。今でもカール・ツァイスのレンズ群をヤシカ時代からの長年のノウハウで緻密かつ正確に作り上げている。信頼度は高く、京セラさんの製造が原因でのロットのバラつきはほぼ有り得ないほどのレベルだ。レンズのガラス素材は現在でもドイツのカール・ツァイスよりショットガラスを取り寄せている。ただ、昨今でこのガラス素材自体に変化があったとすれば、当然レンズスペックも変わってくる。これ以上は諸氏の想像に任せるところ。

Q5.新品を買うのが一番なの?
A5.絞り値F4までまで絞り込めばどれも一緒とも言われている。と言ってもやはり珠玉は開放付近で楽しみたいところ。開放での描写はAEを買ったほうが間違いなく良好である。バラつきのハズレ玉を引いたとしても、新品のスペックは裕にカバーできる。ファインダーでピント合わせを行えば一目瞭然。50cmくらいのところに細かい文字が書かれた物を置いて、それにピントを合わせると認識しやすい。

Q6.58番のいいロットを見つけたのだけどカビが・・・買い?
A6.これは個々の主観にもよるが、私なら迷わず買い。カビにより値段が安ければなお買い。カビといっても向こうが見えないくらい曇っていたら話は別。そもそも58番代は1975〜76年の生産であり、もう約30年を数える。カビが無いほうが不自然なくらいであり、良く言えば誰も手を加えていない証拠。と言ってもカビ玉はカビ玉なので、購入価格はほどほどに。

Q7.こんどはクモリが・・・これでも買い?
A7.部位にもよるが、クモリは大きく解像度を落とすので、例え初期ロットの上モノでも敬遠したい。メーカーで清掃を依頼すると新品より高くつくので思案どころ。もし修理に出す時は、必ずエレメントを交換しないように頼まないと後の祭りとなるので注意したい。

Q8.同じ50mmでもF1.7ではどうなの?
A8.プラナー50mmF1.4は国内販売開始の1975年からエントリーされていたが、F1.7は4年遅れての1979年から発売、58番代ではなく62番代からのスタート。このレンズはもともとピークが良く出ているレンズなので、多少の価格差ならともかく、大枚を叩いてまでわざわざ初期ロットを探す価値は感じられない。

Q9.しからば同じ標準の55mmF1.2では?
A9.ここであれこれ語ったところで、数本を見比べて購入するのは至難の業。ある程度のデータは把握しているが、持っている方のショックを考え、あえて公表は自重しておく。自分が持っているロットが最も素晴らしいロットと信じて使って下さい。お金に余裕がある人は”決勝戦”も一興。(見つけたらとにかく購入し劣る方を手放していく事を繰り返す)

Q10.ヤフオクで初期ロットが出ているが買いか?
A10.50mmF1.4の初期ロットで20,000円くらいならともかく、30,000円近い価値があるのかは疑問である。やはり自分の目で見て納得した上で購入することに価値があり、他力本願で購入した物のスペックを信用できるかどうかがカギである。59、60番代でも良い玉がソコソコあるので、焦る必要は無い。時間がある時にカメラ屋を廻って多くのロットを覗いてみるのが一番。価値を納得の上での出費が吉。

Q11.ピントの良く出た個体を見てみたいのだが方法は?
A11.50mmF1.4の初期ロットの良い個体のサンプルは、常に極楽堂の接客カウンターに置いてあるのでいつでも閲覧可能だ。自分の持っているロットを店に持ってきて比較してみるのも楽しい。気軽に来店下さい。

Q12.部品の組換えとか有り得るの?
A12.悲しい事に有り得るんですね。まずメーカーでのメンテナンス時、性能維持の為に行う、止むを得ない部品交換。もう一つは工具を必要としない前枠交換。硬く締まったフィルターを外す時、レンズの前枠が一緒に上がってきてしまった経験は皆さんあると思います。そうです、前枠に番号があるので簡単に初期の綺麗なロットを工具無しで組めてしまうんです。初期の性能を満たしているかどうかはグラム計量から始めなくてはならない。

それでは、部品がロットによりどのように変遷してゆくか、説明してゆこう。

銘盤込みの前枠は簡単に外れてしまう

   

                  

年代ごとに構造が違ってきている。左から初期、右がMM

   

                  

初期58番代から60番代あたりまでは構造に変化が無い

   

                  

初期60番代から64番代にかけて、
内枠の真鍮の塗装が省略されている

   

                  



一見変化の無いように見える64番代と67番代
実は後玉に大きな変化がある

   

                 


違いが分かりますか?
マウント金具の材質は無視して下さいね。

   

                 


後玉付近のアップの画像
レンズの枠が内外二重だったのに対して、一重になっている
赤い矢印の間に注目。同時に黄色いカニ目も変化している

   

                 


MMから内部構造が大きく変わる
専用工具を用いずに、プラスドライバーでメンテできるよう簡易化

   

                 


グリーンのの中が異なる部位。MM認識用のピンはもちろん、
マウントのメンテナンスが簡易になるよう、4つのマウント開梱ネジが追加された。
AEはマウント金具下に隠れている為、マウント金具を外さないと開かない。

以上がレンズ構造レポートである。

  

 

 

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