エルハルト・グラッツェル

Erhard Glatzel :1925- 

 

 エルハルト・グラッツェルは1925年ウエストハーレン州マールで生まれた。グラッツェルは1954年以来、オーバーコッヘンのツァイス工場で写真レンズの研究をした。1960年代以降は、コンピューターによる自動設計が導入され、それに伴いグラッツェルは1961年に自動計算の代表的な1つであるグラッツェル法を開発した。
 それから10年間、コンタレックスシリーズなどのレンズは勿論、コンタックスRTSのためのレンズ開発を進めた。グラッツェルは、こうして、ディスタゴン、ホロゴン、N−ミロターなど、数々のレンズを発明した。N−ミロターは、可視光線領域外を扱う光学レンズとしての先進的な発明がされた。これはツァイス社に顕微鏡レンズ開発経験の伝統を生かしたもので、犯罪捜査や夜行動物の生態撮影でその性能が活用されている。
 最後にグラッツェル博士といえば、やっぱりホロゴン。ホロゴンはもともと超広角レンズを作ろうとして生まれたわけではなく、好奇心旺盛な博士が、3枚のレンズで何か新しい光学系が無いかどうか、試行錯誤を重ねた結果、誕生した。さすがのLeitzもお手上げのこのレンズは、独創性に富んでおり、ツァイスらしいレンズである。ホロゴンウルトラワイドという高値で融通の利かないカメラに固定されたホロゴンは、一度はその名を終えることとなるが、1994年に京セラから発売されたコンタックスG1に再び同レンズが用意され、グラッウェル博士は自分の産んだレンズの名前が、また復活したことを喜んだそうだ。この時、博士は69歳であった。

   

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