コンタックスのベローズってどう使うの?

 蛇腹でレンズとフィルム面との距離や角度を調節するベローズユニット。大判をはじめとするフィールドカメラによく用いられるが、CONTAXでは主に接写ツールとしてヤシカ・コンタックスマウント、645マウントの2種類が発売された。残念ながらN1、NX、Nデジタルに用いるNシステム用ベローズは発売されていない。アダプターNAM−1を用いることによってNボディでも645ベローズが使えるが、レンズも当然645のレンズになる。通常の撮影ではあまり馴染みが無いが、どのようなものかここで紐を解いてみよう。

 

 まずは645オートベローズから。他のベローズと大きく違うところは、645のレンズの絞り駆動ユニットが電子制御であり、これに対応していること。645ボディ本体のマウント内にある電子接点からの信号を伝達する為、ベローズの蛇腹と電気コードが並走する。定価は241500円とやや高め。右の写真のように蛇腹を伸ばすことにより、自在なマクロ撮影を楽しめる。スイングはもちろん、ライズからフォール、マウント側のアップ・ダウンまで実にスグレ物であるが、ベローズ専用マクロレンズが発売されなかったのが玉にキズ。

 

 645オートベローズのスイング。左から右アオリ、標準、左アオリの順。通常フィルム面とピント面は必ず平行であるが、この関係をスイングして崩すことにより、フィルム面と平行でない平面にピントを合わせることができる。

 

 同じく645オートベローズのティルト。左から上アオリ、標準、下アオリの順。奥行きのある物に対して、通常ピント面から遠ざかるにつれボケてゆくが、ティルトすることにより手前から奥まで均一にピントを合わせられる。

 

 645オートベローズの縦位置へのシフトで、ライズとフォール。高層建築物の撮影時に上部が窄まってしまうが、レンズを仰角にせずに撮影できるのでこれを回避できる。この機能には焦点距離45mm程度の専用レンズが欲しいところだ。

 

 645オートベローズの横位置へのシフト。被写体とフィルムの平行関係を保ちながら、アングルによる歪みを除去できます。また、自身を含む付近の物の写真への映り込みを避けたり、順にスライドしてパノラマ撮影もできます。

 

 

 

 

 これはヤシコン用オートベローズ。電気接点絡みはなく、至ってシンプルなつくり。右の写真のように蛇腹を伸ばすことにより、自在なマクロ撮影を楽しめる。フロントはスイング、シフトに対応。マウント側はアオリ機構は無い。ボトムのマクロスライダーは別売り。ベローズ専用マクロレンズはコンタックスブランドとヤシカブランド共に100mmF4が発売されている。

   

 ヤシコンベローズのスイング。左から右アオリ、標準、左アオリの順。通常フィルム面とピント面は必ず平行であるが、この関係をスイングして崩すことにより、フィルム面と平行でない平面にピントを合わせることができる。このベローズのアオリ角度はかなり自由がきくが、実際に写真のように曲げたらかなりケラれます(良い子の皆さんはマネをしないで下さいね)

 

 ヤシコンベローズの横位置へのシフト。被写体とフィルムの平行関係を保ちながら、アングルによる歪みを除去できます。また、自身を含む付近の物の写真への映り込みを避けたり、順にスライドしてパノラマ撮影もできます。このベローズは横位置のみシフト可能で、縦位置シフトはできない。

 

 どうしてもライズ・フォールを使いたい人には、写真のようにボディをレボルビングすることにより対応可能。但し、マクロスライダーにある三脚穴は底にしかないので、器用に三脚に固定できるかがカギ。

 

 

 

 さて、実際にヤシコンベローズで撮影してみよう。機材はNewEOS-KISSデジタル。ストロボ部分がマウントに当たるので、13mmの中間リングを噛ました。レンズはドイツ製エスプラ100mm。実はこれを実用するのは私も初めてである。

 

 さて、鉄道模型の撮影にて解説しよう。詳細を見たければ各画像をクリックすれば拡大画像に切り替わる。まず@の写真を参照されたし。電車の先頭部分にピントが合っているが、側面については車両後方(左側)に行くにしたがってボケが増す。Aの写真は@の写真と同じアングルで開放だった絞り(F4)をF11まで絞り込んだもの。@に比べて車両側面の被写界深度が深くなったものの、画面左側がピントはイマイチ。後ろ側の車両の屋根を見れば、絞り込んで撮った写真であることが分析できる。次にBの写真を見てみよう。Aより車両側面のピントが全体的に安定している。これはアオリ撮影を行ったもので、深度が浅い絞り開放でもこのようにピントを合わせられる。車両の向きからして、車両の側面がフィルム面と平行でないのはお分かり頂けるだろう。Aの写真とBの写真を背景の車両の屋根で比較すると絞りで稼いだ写真かどうか一目瞭然だ。CはBと同じくアオってかつF11まで絞り込んだもの。正面・側面共に、手前の車両全体に安定したピントがきている。これがアオリのメリットなのである。

 

 同じように、このようなこともできる。Dの写真では手前の車両のみピントが合っているが、アオリ撮影をしたEでは両方の車両にピントがきている。車両の屋根を見れば、絞り開放であることが伺える。FはアオってからF11に絞り込んだもの。安定した写真になっている。

     

 

 

 

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