RTSVチェック項目

 

 さすがはRTSの最終兵器であるV型、そうそうは壊れない。しかしロットによっては発売年の1990年から十数年を数える。特にプリズム上のアクセサリーシューに取り付け痕が多い物はプロが使い込んだ可能性が高いので要注意。修理代は簡単な整備なら12,000円からだが、シャッター交換に至る重修理だと40,000円を超えるのでよく吟味しよう。

@ファインダー内LED

 ブルーの美しいイルミネーターはRTSV型ならでは。バックライト輝度が低くなって見にくくなっている物が多い。ファインダー下と右側の表示の両方を必ずチェックしたい。また、表示周辺部に液晶漏れによるシミなどが出ている場合もあるので、四隅までしっかり見ること。あと、このバックライトが点灯時、周波数発信する際に「キーン」という発信音が多かれ少なかれある。これが個体によってはかなり耳障りな(ずっと聞いていると頭が痛くなってくる)場合がある。中古は個体を選べるが新品だと選べないリスクがある。これは蛍光灯のFL管と同じ原理なので周波数発信は当然ながらあり”故障”としては扱われない。

Aシャッター幕

 耐久性は高いのであまり心配はいらない・・・と言ってもプロが極度に使い込んだ物で整備されていない物は敬遠したい。ストロボ用アクセサリーシューに使用感がキツいものはプロが使い込んだ”下取り品”であることを疑ってみよう。いちばんシャッターに負担がかかるのは撮影することのないコレクターさんの”シャッター連続空切り”である。T型とU型はドライブが付いていない為に空シャッターを切ってもそれほどでもないが、秒間5コマの高速でフィルムを入れずにバシャバシャ長期間切っていてはあまり良いことではない。外観が綺麗な個体でも幕に擦れが多い物は疑いも必要。

B巻き上げ

 V型の最終的な巻上げチェックはフィルムを入れないと行えない。フィルムを入れないとCH,CLに関係なく、CHのスピードで巻き上がる。デモ用フィルムを入れてまずは装填。連写低速モード(画像右側のCL)はフィルムを入れてからチェックする。36枚までシャッターを切ったら、巻き戻しレバーを引いて巻き戻しを行う。このプロセスで違和感や異音が無いかよくチェック。巻き上げ音やギア音には個体差が実に大きく、音が違っても不自然でなければ問題は無い。テスト時の電源は2CR5ではなく単3電池6本が望ましい。

 

C絞り動作(マニュアル、プレビュー)

 長期に渡ってメンテナンスしていないRTSV型は、マウント内下側にある絞り羽を絞り込む為のレバーが充分に動作していない場合がある。プラナー50mmを使ってチェックしてみよう。まず最小絞りのF16にしてマニュアルモードで秒時の長いシャッターを切って右のように絞りが確実に絞られているか確かめる。次に測光切り替えスイッチ上のプレビュースイッチを押して同じチェックをする。必ずシャッターを切った場合とプレビューとで別々にチェックしてみることが大事だ。

     

D絞り動作(Tvモード)

 Cと同じようなチェックだが、マニュアル時に絞りが動作していても、シャッター優先モード時に作動していないケースもあり、この場合Tvモードに限定して露出オーバーの症状が確実に出る。このテストはMMレンズで行わなければならない。上の画像内の赤丸箇所を同じように設定し、シャッターを切れば絞りがF16になるよう強引に仕向ける。余程暗い場所ではない限り、シャッターを切ればF16になるはずだ。このとき、内蔵露出計が露光オーバーの判断で早めに切り上げることもあるので、必ずしも設定通り4秒のシャッターは切れないので気にしなくてもいい。この状態で絞りがF16まで絞り込まれているかレンズ正面から確認しよう。Cの右側の画像のようになっていれば問題無い。

 

 

 

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