結構分かっているようで実は意外と分かっていないことの多いレンズ。ほとんどの人はマウント金具までチェックが行き届いていない。キャノンFDのようにガッチリ固定とまでいかないYCマウントにとって、マウント金具はある意味生命線なのだ。
@マウント金具
まずここから見るくらいの気持ちを持ちたい。マウント金具はAEはアルミに黒塗装、MMは真鍮に銀塗装。AEのアルミのほうが強度が弱く曲がりやすい。逆に言えばMM用の白い金具が曲がっているということは、相当強い力が加わったと考えたい。殆どのレンズのマウント金具は3本のネジで止まっているだけなので、丁寧にボディとの着脱をしなかったり、レンズを装着したままの状態で衝撃を受けたりすると簡単に曲がる。
まず、マウントを自分の目の高さまで持ってきて、じっくりと見たい。上の画像を参考にするとよい。紙1枚入る隙間くらいならともかく、約1mm浮いていたら敬遠したい。金具の浮きからくる弊害はボディ側のF値認識の狂い、無限遠の精度不良、片ボケなどがあげられる。VS80−200mm、VS70−210mm、TA300mmF2.8などの長いレンズは、テコの原理から物理的に特に曲がりやすい。また、テッサー45mmの曲がりも多い。プラナー100mm、ゾナー180mmなどのマウント一体成型タイプは強度が強くほぼ心配はいらない。
AF値認識
ボディに装着してF値が正常に認識されているか調べる。ファインダー内または液晶表示を見るのが最も簡単。ボディ側の不具合も考えられるので、2台以上でチェックすれば完璧だ。RTS、139Q、137MA/MD、S2、S2bの6機種はファインダーにデジタル表示されないのでチェックには適していない。京セラCONTAXボディは接点読み出しではなく、機械的に認識しているので相性の悪い個体同士も存在する。1/2絞り程度なら、簡単に微調整が可能である。
B光学系の状態
これは言われなくても実践していると思う。まず、レンズ内のチェック。キズ、カビは余程ひどくないと画質にはまず影響しないと思って良い。ただ、高い買い物をしないようにだけ注意したい。一番やっかいなのはクモリ。多少安くてもクモリは敬遠したい。特にレンズの主点付近のクモリは微量でも大きくコントラストが下がる。
Cヘリコイド
ヘリコイドを回してみて感触を確かめる。固すぎたり軟らかすぎたりも大事だが、全体的に負荷が均一かどうかということと、途中で引っかかりがないかどうかをチェックする。ついつい手で早く回しがちだが、実際に使用する時の回転スピードを想定してゆっくりと回してみる。とくにヘリコイドの繰り出し量の大きいマクロプラナーは念入りにチェックしたい。
・・・と言っても相手はあくまでも中古。神経質になりすぎないように。以下3点は少々クセがあるので少し割り引いて考えたい。まずプラナー50mmF1.7とテッサー45mmは内部構造上、物理的にヘリコイドグリスが抜けやすいが、2万円以下という中古単価と修理代を天秤にとって考えると直す程のことではない。S−プラナー60mmは最も繰り出した時に軽く引っかかる場合があるが、等倍で使う頻度は少ないので概ね問題は無い。「まあ、こんなもんでしょ」くらいに流すことも大切。直接写りに関与しないのでどうか程々に。
D無限遠(∞)
インフィニティが出ているかをボディに装着してチェック。2km以上先でチェックするのが建て前だが、無理な場合でも最低200mは取りたい。フロート機構の入った広角短焦点は特に念入りに。ファインダーにはスプリットのスクリーンが入っていると分かりやすい。ズームの場合、テレ側とワイド側の両方をチェックしよう。
E最後は覗いてのピン合わせが決め手
レンズ内のホコリや外観に気を取られて、肝心のレンズのシャープネスをチェックしない人が多い。ピント合わせをしてみて、ピントの山が掴みやすいかを必ずチェック。立体物の陰の出方でコントラストも慣れればファインダー越しに読める。数本覗いて比較するのがポイント。スクリーンの中央を外したマット面でチェックを行うのが良い。目が疲れるとピント認識能力が落ちるので、最初の3分でテキパキとチェックしよう。
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