BODY全機種共通チェック項目

 
 

@モルトの劣化

 裏蓋を始めとする数箇所、カメラ内部に光線が漏れないよう”モルト”(京セラさんはモケットと呼ぶ)という柔軟性のある黒ウレタンが貼られている。このウレタンの性質上、半永久的には耐久できず、約10年でボロボロまたはベトベトになってしまうのである。
 正常かどうかを判断するには指で押してみるとよい。適度な弾力性があれば正常である。右上の写真のようにボロボロであったり、粘着質であったり、指で押しても右下の写真のように凹んだままだったりすると、張替え時期である。
 傷んでいる場合、処置としては、古い物を清掃・洗浄し、新しい物を貼る。手先が器用であれば個人で修復できるが、ジャンク等で練習してからのほうがよい。先の尖った金属でモルトを剥がすと間違いなくボディに傷がつくので、爪楊枝や竹串などを使うとよい。張替えをメーカーに依頼することもできる。メーカー出しだとRTSシリーズなどのハイエンド機は12,000円前後、139Qなどの普及機は6,000円前後の費用がかかる。
 主なモルトの貼付箇所は裏蓋内部、フランジ内にあるミラーの上の焦点板(スクリーン)周囲である。モルトの傷みによる主な害は光漏れである。フィルムに赤い線が上下に走っていたら、間違いなくモルトを疑ったほうがいい。その他、ミラー上のモルトがスクリーンに付着すると、そう簡単には除去できない。137シリーズのように自身で交換できなかったり、RTSのようにスペアのスクリーンを入手しづらい物に関しては特に注意が必要である。

 

Aミラーずれ


 意外と知られていないのがミラーのズレ。コンタックスボディ特有の症状で、まさに”コンタックス病”である。ズレの量が多くなるとレンズの後玉を擦る場合がある。F1.2の記念レンズを使う前には必ずチェックしたい。上の2枚の小さな画像が正常なミラー、下の2枚の大きな画像が張り出したミラーである。原因は固定してある粘着テープが劣化し、ミラー動作の遠心力で下に張り出してしまうのである。1mmくらいならともかく、2mmを越えると危険である。45mmのテッサーを装着し、インフに合わせ、ミラーが引っかからなければ合格。ミラーの修復は分解修理扱いにはならないので、機種によって工賃は異なるが、6,000円〜10,000円くらいである。

 

B絞り認識環の動き

 赤い丸で囲った部分でレンズの絞り環の動きを認識する。この部分を指で赤矢印の方向に動かしてみる。スムーズに動いて、ファインダー内の露出計と連動していれば問題無し。新型機種にはあまり見られないが、1990年以前に発売の古い機種には個体によっては動きがスムーズでなかったり、露出計と連動していない場合もあるのでチェックしてみよう。

 


C絞り表示

 レンズの絞り値とファインダーの表示絞り値が一致しているかどうか。基本的にレンズを外している時はF1.2の表示になる。ズレている場合、レンズ側に問題がある場合もあるので、数本レンズを着脱してみるとよい。表示値が違う場合、レンズ開放値の認識がズレている場合と、絞りの変化の認識に問題がある場合の2通りある。
 RTST型,139,137,S2,S2bはファインダー内にデジタル表示されないので、機械的に認識されていても電気的にどう認識されているかは露出をチェックしてみないと異常があるかどうかは分からない。

 


Dカウンターリセット

 RTS、139Q、137、RTSU、159MM、S2、S2bが対象。通常、ウラブタを開けるとカウンターがリセットされるが、リセットされないケースと、全くカウンターが作動しないケースがある。ウラブタにある開閉を検知するスプリングが故障しているケースと、カウンターポスト自体が壊れてしまっているケース、さらにカウンター付近にアタリなどの損傷でトップカバーが物理的にカウンター円盤に接触して動かない場合がある。
 RTS、RTSUは特にカウンター故障の頻度が高い上に、カウンターポストの故障については代替部品が無く、修理が難しいのでよく吟味する必要がある。

 

 

 

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