Contax のTコーティング

 

写真レンズのコーティングはカール・ツァイスによって実用化した。
このコーティング技術の歴史は、

1817年 ヨゼフ・フォン・フラウンホーファーが、
古いレンズに発生したレンズ焼けが、
レンズの透過率を増大させることを発見する。

1892年 デニス・テイラーがこの現象を確認し、
薄膜に増透効果があることを証明する。

1936年 アレクサンダー・スマクラが、
カール・ツァイスのイエナ工場で
写真レンズ反射防止コーティング処理の発明をする。

となっている。

このコーティング技術が発明されたころのドイツは、
第1次世界大戦に敗退した時のベルサイユ条約軍縮条項を破棄し再軍備宣言し、
第2次世界大戦への道を歩みつつあった。

このため、軍事的にも重要なコーティング技術は5年間トップシークレット扱いとされ、
名称も暗号的な意味合いも含め、
Transparent(透明)の頭文字をとって、Tコーティングと呼ばれた。

T*コーティングの販促用サンプルとしてカール・ツァイスが製作したと思われるコーティングチェッカー

コーティング無し、Tコーティング、T*コーティングの透過率の差が分かる。

軍関係に提供されたTコーティングのゾナー50mm F2、Contax I 用のニッケルメッキが施されている。

Contax Iの製造期間は1932〜1938年ごろになるのでレンズコーティング技術を軍事機密としていたころである。

Sonnar T 50mm F2の作例はこちら

(EPSON R-D1 + Leica→Contaxアダプターにて撮影)

軍事機密扱いとされたレンズコーティング技術も、第2次世界大戦中には一般的な技術となり、Tコーテングを施されたゾナー50mmやビオゴン35mmが一般市場にようやく出回ることとなった。

戦後のCarl Zeiss Jena製はシリアルナンバー 3000000以上となるので、3000000未満のレンズが東西分断前の戦中Tコーティングレンズとなる。

 

 

 

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